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この記事は過去に雑誌へ寄稿し、掲載された記事を複製したものになります。
京都機械工具株式会社(以下、KTC)は、KTCブランドで、自動車整備用工具、関連機器類、その他一般作業工具類などを提供する工具メーカーです。
読者の皆様は、年末の大掃除を行いましたか?師走のとても忙しいこの時期に、会社でも自宅でも、年末にかけて清掃を行うことが多いのではないでしょうか?
日本で年末に大掃除を理由は、家族や自分が気持ち良く年を越して新年を迎えるためだけではなく、自宅の「煤払い(すすはらい)」を行い、神様を迎える準備をするのが目的です。 この煤払いですが、平安時代の宮中では12月に、1年間蓄積した自宅のホコリや煤を落として神様を迎えるという行事が行われていたのが由来になっていると言われています。
KTCでも定期清掃に加え、年末清掃はより時間をかけて行うことが恒例となっています。清掃することは、設備、機械や部屋などをピカピカの状態になるように行いますが、もう一つ重要な目的があります。清掃することで見えてくる『異常』です。
今回は、3Sの中の「清掃」にフォーカスを当てて、そこから見えてくる効果について、ご紹介させて頂こうと思います。
3Sにおける「清掃」の定義は、ご存知ですか?
整理整頓がきちんとできたら、それを毎日維持していくことが大切です。その維持に欠かせないのが「清掃」です。ゴミやホコリを取り除いてきれいにし、業務に取組みやすい状態にしておくことです。
身の回りを綺麗に掃除することで、何をすべきか分かりやすくなりますし、問題(異常)にもすぐ気づくことができます。清掃の行き届いた職場は、気持ちをリフレッシュし、仕事へのモチベーションもあがります。社外の取引先、お客様にとっても、好印象を抱きます。
裏返せば、掃除が行き届かずに汚れた会社は、社外の相手に不安を抱かせ、業務にも影響をきたしてしまいます。一般的にも「きれいな工場は最高のセールスマン」と言われます。
しかし、清掃の仕方は千差万別です。いつ、だれがやれば良いのか?就業前にやるべきなのか?はたまた、終業後の行うべきなのか?
KTCの清掃活動を事例に、取組と効果をご紹介いたします。
KTCで行う清掃は、ゴミ、チリ、ホコリ、汚れがなく、常にピカピカの状態を維持する活動を
指しています。汚れの種類も下記のように決めています。
・「ゴミ」…両手でつかめる程度の大きさのもの。
・「チリ」…片手でつかめる程度の大きさのもの。
・「ホコリ」とは、息を吹きかければ飛んでいく大きさのもの。
・「汚れ」とは、拭けばとれるもの
これらを、担当者による日々の清掃活動で、維持向上を進めています。
しかし、清掃するというルールを決めても、それを定着化させることは非常に難しいです。
新人が入ってきたり、部署異動で人材が変わったり、、、。
そこでKTCでは、清掃も定着させるために定期的に活動時間を決めて、業務として取り組みを行っています。
3Sの目的は「異常発見(安全性の向上)」 「作業の効率化(生産性の向上)」「習慣化(モラルマネジメント)」などがあげられます。
では、清掃ではどうでしょうか?清掃について大きな3つの効果をご紹介いたします。
①異常の発見が早くなる (安全性の向上)
整理、整頓され、整然とした状態で清掃が行き届いた場所をきれいと感じ、そこから外れた時に、違和感を感じるようになります。その違和感が異常の早期発見に導いてくれます。皆さん使いの、工具に例えると,使い終わった後の汚れ落としをすることで、工具の傷や破損状態を察知することが出来る、所謂「予防保全」が可能です。破損により工具の買い替えを防ぎ、修理による再生で結果的にコスト削減に繋がっていきます。工具のケアについては、こちらでも紹介しています。
https://ktc.jp/kiso/maintenance/
②従業員が集中して作業に取り組める(作業の効率化)
例えば、キャビネットの工具類が汚れていて、様々な工具類が、乱雑にしまってある状態を想像してみて下さい。急いでいるのに、工具が見つからない!,探している時に手を怪我した!等が発生しがちですよね。これでは不安全、非効率ですよね。
収納する工具類の定位置化を図り、使ったあとは、工具を拭いて、場合によっては注油する。等行っておけば、探す必要もなくなり、安全で、作業に集中していただけるはずです。
③習慣化につながる(モラルマネジメント)
職場が汚れていると清掃したり、ゴミが落ちていれば拾うなど、従業員が自主的に動くようになります。目的意識をしっかり持つと、得られる効果もより大きくなっていきます。
次のステップになりますが、習慣化→躾に繋がっていきます。
いかがでしたでしょうか? KTCにおいては、普段の清掃で、目的意識を持っての活動はまだまだ発展途上ですが、目的と億票をしっかりと層別し、共有化できるようにチャレンジしています。
ポイント:3Sの活動の徹底で、改善につながる。
「Base on 3S」シリーズ
KTCの活動基盤になっている「整理・整頓・清掃」(以下、3S)活動から紐解く、工具製品を中心としたモノ(もの・こと)づくりについてご紹介いたします。
Based on 3S vol.01 / 作業の流れを捉えた工具
Based on 3S vol.02 / 3Sをベースとした製品安全の実現
Based on 3S vol.03 / 事例から見る3S活動と安全・安心な職場
Based on 3S vol.04 / 安全啓発と3Sについて