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京都機械工具株式会社(以下、KTC)は、KTCのブランドで、自動車整備用工具、関連機器、その他一般作業工具などを提供する工具メーカーです。
本記事は、「Base on 3S」シリーズと題しまして、KTCの活動基盤になっている「整理・整頓・清掃」(以下、3S)活動から紐解く、工具製品を中心としたモノ(もの・こと)づくりについてご紹介していきます。
今回は、創業当時から変わらないものとして受け継がれてきたモノづくりの精神や、製造方法、そして取組みについてご紹介させていただこうと思います。
KTCは、1950年に創業し、2020年8月2日に70周年を迎えました。これもひとえに、ご利用いただいておりますメカニック、エンジニアの皆様や、協力会社の皆様、そして地域の皆様のおかげでございます。70年以上もの間、創業当時より一貫した思想の下、モノづくりをさせて頂いており、現在も京都府久御山町の本社工場を中心に、一品一品に対して、こだわりの製品開発・製造を続けています。
「お互いにたゆまず前進し、軽くて 強くて 使いよい 工具を創り、社会に貢献しよう」
これは社是です。ご使用いただいた方々にとって、どういう工具であるべきかを示しています。
KTCでは「変えていいもの」と「変えてはいけないもの」をしっかりと層別し、工具だけに留まらず、ソフトウェア、サービスへと進化し続けています。
前回にもお伝えしました通り、自動車産業はCASE時代(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)を迎えています。また、工具業界においても同様に大変革時代に突入しています。
様々な革新的技術が発達し、従来考えられなかった相手が競合になったり、絶対に不可能と思われたことが、技術の進歩で可能になってきたり、市場からの求められるもののレベルが格段に上がってきています。その中で、企業としてどんな未来になるのか?ということを予測し対策する(問いを解く)だけではなく、自社としてどのような企業であるべきか?と「志」を明確化し、問を立てていく企業として事業を進めて行く必要性があります。
KTCは基礎(3S)に立ち返り、モノづくりの理念を「安全、快適、能率・効率」とした、「工具の基本機能の向上」と、「安全、安心の見える化」に貢献する製品・サービスで社会に貢献できるようにチャレンジしていくことを掲げ、事業を進めています。
では、工具の基本機能の向上とは、どのようなものでしょうか。
工具は人が手にもって使うものとして、非常に便利である反面、一歩間違えば大きな力となり作業者の事故に直結します。KTCでは、作業者の事故を無くすべく3つの取組みを行っています。
1.「安全を考慮した製品設計」
2.「製造時の品質コントロール」
3.「安全な工具の使い方の啓蒙」
1.「安全を考慮した製品設計」
これは、工具のヒューズ機構のことです。
つまり「壊れる個所を想定した製品設計」を行っています。
JISで規定された強度をはるかに超える値を保ちつつ、壊れた衝撃で怪我をしないよう壊れ方まで考慮し、繰り返し破壊試験を行い、最終的な製品へと仕上げを行っていきます。
破壊試験による強度の妥当性確認を実施。
ラチェットハンドルにJIS規定値以上のトルクをかけ、想定した破壊個所(差込角)がねじ切れることを確認。
2.「製造時の品質コントロール」
社内一貫生産体制による品質マネジメントのことです。
創業2年目より、材料切断や、鍛造、機械加工、熱処理、表面処理などの工程全てを一つの工場敷地内で行うことで、製品品質のコントロールと、多品種小ロット生産を実現しています。これにより、安全に配慮した製品設計に忠実な製造を可能にしています。
ここまで読んでくださった方は「KTCの工具を使えば、安全、快適に作業できる!」と思っていただいたかもしれません。しかし、これだけでは、事故は減りません。最も大切なことは「正しい使い方を知り、安全意識を高め作業を行う」ことです。そこで、3.「安全な工具の使い方の啓蒙」の活動を行っています。
3.「安全な工具の使い方の啓蒙」
ご存じの方も いらっしゃると思いますが、KTCでは「なるほど工具ノート」や、「工具の使い方」についての啓蒙WEBサイトなどを展開し、企業だけでなく、地域の小学生や、高校・大学・専門学校などへも安全な工具の使い方を啓蒙しています。
このように「安全」を軸に工具の基本機能の向上を行い、お客様に安心して使っていただける環境構築に取組んでいます。
ここまで、一般的に使われる汎用工具のお話をお伝えして参りました。次にKTCの特徴でもある、専用工具についてご紹介いたします。専用工具類は特定個所の作業を、さらに「安全、快適、能率・効率」的に実現する製品群です。例えば、皆さんよく使われているトルクレンチをご紹介いたします。
一般的なトルクレンチはプレセット型トルクレンチといって、上画像(No.GW200-04)の製品群を指します。この機種は、作業者が目盛を設定し使用するので、様々なトルク管理のシーンで汎用的に使用できますが、作業都度、トルク値を目標トルクに設定する必要性があり、時間のロスに繋がります。
そのような課題を解決するために単能型トルクレンチをラインナップしています。自動車整備や工場ラインなどで特定個所の繰り返し作業に特化した製品で、頻繁に行う作業の効率化が図れ、快適な作業を実現できます。
(画像左) 12.7sq.ホイールナット専用トルクレンチ(設定トルク85N・m~108N・m)
(画像中央)12.7sq.ホイールナット専用トルクレンチ(設定トルク120N・m~40N・m)
このようにKTCは、3Sの目的である「安全、快適、能率・効率」をベースに事業を進めているのです。
次回は「安全、安心の見える化」についてご紹介いたします。
「Base on 3S」シリーズ
KTCの活動基盤になっている「整理・整頓・清掃」(以下、3S)活動から紐解く、工具製品を中心としたモノ(もの・こと)づくりについてご紹介いたします。
Based on 3S vol.01 / 作業の流れを捉えた工具
Based on 3S vol.02 / 3Sをベースとした製品安全の実現
vol.03以降は後日掲載予定
Based on 3S vol.03 / 事例から見る3S活動と安全・安心な職場
Based on 3S vol.04 / 安全啓発と3Sについて