Overview

京都機械工具株式会社(以下、KTC)は、KTCブランドで、自動車整備用工具、関連機器類、その他一般作業工具類などを提供する工具メーカーです。

本記事は、「Base on 3S」シリーズと題しまして、KTCの活動基盤になっている「整理・整頓・清掃」(以下、3S)活動から紐解く、工具製品を中心としたモノ(もの・こと)づくりについてご紹介していきます。

 

今回はお客様に求められた機能を、いかにどれだけ能率・効率的に製造できるか、KTC が取り入れている「改善」のプロセスにフォーカスを充てて、ご紹介したいと思います。 世界でも通用する品質を維持・向上させるために「QC(Quality Control)活動」は、多くの企業が取り組んでいる改善活動の一つです。QC活動では「顧客満足を目指して全従業員が自ら考え行動できるよう」に取り組みを行い、品質に関する討論を通じて,新たな課題を見つけ品質意識や行動の質を高めています。 KTC でもQC活動を含む改善活動を行っています。

 

今回の記事では、改善活動をより定着、活性化するために、KTC が取り入れている3Sを視点とした3つのステップについてご紹介したいと思います。

STEP1:守ることを決め、決めたことを守る

KTC では3S 「整理、整頓、清掃」活動の意味を理解する ことと同時に、大切にしていることがあります。 それは、小集団(チーム、グループ、課、部などの単位)で、全員が参加して「ルールを決める」ことから始めることです。

 

そして、そこで定めた「ルール」と目的、目標を参加者全員に周知徹底します。特にルール決めでは、到底達成できないルールではなく、少し努力すれば、必ず誰もが守れる ルールにします。

 

守れるルールとは「実行し継続できるもの」のことです。実行し継続できるルールにするポイントは、時間や場所、担当者、計画(目標)と実績を明確にすることです。 小集団の全員参加で決めたルールを最終判断するのは、管理・監督者です。一見、効率の悪いやり方に思えても、「決めたことを守る」と見えなかったものが、見えるようになります。

 

 

ポイント

・目的とは、ありたい姿(追求し続けるもの)のことです。

・目標とは、その道しるべとなる過程(必達するもの)のことです。

・ルールとは、目標に到達するための手段のことです。

STEP2:定着させる

ルールを決めても、それを定着化させることは非常に難しいです。 新人が入ってきたり、部署異動で人材が変わったり……。 ルールを守っている人からすると、守られないことでストレスを抱えてしまいます。

 

そこでKTC では、3S を定着させるために定期的に活動時間を決めて、業務として取り組みを行っています。 特に管理・監督者が模範を示し、先頭に立って取り組むようにしています。また、誰でもわかるようにルールを明示(表示・標識)することも大切な要素としています

 

この ように3Sを習慣化することで、業務の中で定着していきます。また、客観的な視点を養うためリーダーを任命して巡回し、各部門の良い点・悪い点を定期的に確認するようにしています。

 

 

3S活動事例

KTCの出荷作業での事例をご紹介します。物流では毎日数千アイテムにもなる製品をスムーズに出荷しています。日々の作業を快適にするために様々な工夫を行っています。

 

例えば、ホッチキス。

共有で使うため10個の用意があるが、必ず同じ場所に戻す癖をつけるため、意識付け、教育と表示・標識徹底しています。こうすることで、この場所に始めてきた人でも同じ場所に戻すことが可能になり、教育時間の短縮、モノの紛失防ぎ職場を快適な方向に導きます。

TT4_7101

 

STEP3:改善が常に行われる、当たり前に行われる

2つ目のステップで記載の通り、3Sが定着し成果が表れだすと、快適な職場を目指すようになり次第に「業務改善」 に繋がります。

 

KTC においても、3Sを自主的に行っている職場 では、従業員一人ひとりの改善に対する意識が変わり、コミュニケーションが活発になっています。

 

 

3S活動事例

もう一つ、製造現場での事例をご紹介します。

機械に取り付けるコレット(工作機械で用いる工具やワークを固定するための筒状の治具)を定位置管理するために、以前は段ボールの型を活用していました。しかし、段ボール型ではコレット自体を保管しているキャビネットの引き出し の中で動いてしまい、コレット同士がぶつかって傷がつくともあり、加工への影響もありました。

 

そこで、下図のような収納トレイシステムを使い保管するようにしました。2色の発泡トレイを採用したことで、コレットの傷を防ぐだけでなく、無いものが分かる定位置管理を実現しました。この取組みは、グループ内の日々の3S活動から生まれた一例です。

TT4_6242

 

KTC ではこのように業務の一環として3S活動を続けることとで、小集団(職場やグループ単位)で問題を見つけ、知恵を出し合って、コスト削減や時間短縮、品質向上に取組むようにしています。 そして、このプロセスが人財育成に繋がり、会社と従業員の可能性を広げていくと考え、取り組みを行っています。

ポイント

3Sの活動徹底で改善につながる

関連記事

「Base on 3S」シリーズ

KTCの活動基盤になっている「整理・整頓・清掃」(以下、3S)活動から紐解く、工具製品を中心としたモノ(もの・こと)づくりについてご紹介いたします。

 

Based on 3S vol.01 / 作業の流れを捉えた工具

Based on 3S vol.02 / 3Sをベースとした製品安全の実現​

Based on 3S vol.03 / 事例から見る3S活動と安全・安心な職場

Based on 3S vol.04 / 安全啓発と3Sについて

Based on 3S vol.05 / 最上級を目指したものづくり

Based on 3S vol.06 / 能率・効率を高める活動