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本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。
一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。
(cyclist掲載日:2014/6/29)
#40ケーブルやワイヤーのカットにふさわしいニッパ 刃物系工具の選び方
先日、ある講座でスポーツバイクメカニックを目指している方々にお話しする機会がありました。そこで気づいたことがあります。クルマの整備の世界ではメカニックになるための国家資格があるのですが、自転車ではそういった資格制度はこれからとのこと。やはり信頼のおけるメカニックが身近に、そして1人でも多くいれば、サイクリストにとって安全で安心でしょうね。
今回からは「安全な○○」をキーワードにお話を進めます。
自転車に多く採用されている「六角穴付きボルト」は、デザイン面や安全面に配慮された、自転車にはなくてはならない部品です。「六角棒レンチ」などの工具を使う際、特に緩めの際に気をつけていただきたいのは、工具がボルト穴の奥まで差し込まれているかどうかです。
ボルトと工具は、面で接触して力を分散するように作られています。ですので、きっちり差し込まれていない状態で使った場合、力が集中してかかってしまう現象が発生します。すると製品開発時に想定した以上の力がかかってしまい、最悪の場合は工具の破損、二次被害としてお客さまがけがを負う危険性が高くなってしまいます。これは適切なサイズの工具が使われていない場合も同じです。
また、レンチを回す方向に力がかかるのが理想ですが、軸を倒す(斜め)方向に力が加わった場合も、破損してしまう恐れが高くなります。先端がボールポイント形状の六角棒レンチは、障害物を避けて斜めから差し込んで使えますが、差し込み不足(浅がかり)になりやすいため特に注意してください。
また六角穴付きボルトは、ボルトの太さに対して頭部の六角穴が小さいため、それを回す際にレンチに掛かる力が高くなります。ですので、必要以上に力をかけすぎないように注意してお使いいただくことが、安全なメンテナンスに繋がります。
ところで皆さんは、メンテナンスをしている時に、一旦車体から外したボルト・ナットを、どのように一時保管されていますか?ビニールシートなどの上で作業し、その上に転がしておくという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな部品類を安全にスマート保管するための「マグネットボウル」なんて脇役もKTCではご用意していますので、メンテナンスの際には、併せてご利用してみて下さいね。部品類をマグネットでキャッチするので、踏んで壊したりけがしたりすることがなくなりますよ。