『工具はともだち』について

本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。

一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。

工具はともだち<39>回す、挟む、切る サイクリストにオススメの一品「コンビネーションプライヤ」

(cyclist掲載日:2014/5/4)

 

#38一本で便利な「モンキレンチ」その個性的な名前の由来とは?


ここ数回はスパナ、めがねレンチ、モンキレンチと「回す」工具を中心にご紹介してきました。「えっ!? 『回す』以外にあるの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんので、まずはそのあたりの説明から。

工具がもつ機能のなかで、「回す」ことは基本となります。なぜなら、ボルト・ナットが対象になるからです。ただ、自転車や四輪・二輪をメンテナンスする場合、取り付けや交換作業には、その他の機能も必要になってきます。それが、モノを切ったり、ワイヤーなどを回したり、パイプなどをつかんだりする機能です。

pj-150cut

 

このような複合的な作業を実現してくれるのが「プライヤ」と呼ばれる製品群です。JISで定められている正式名称は「コンビネーションプライヤ」。コンビネーションを訳すと「組み合わせ」となりますが、その名の通り、一つの工具で、挟んだり切ったりといった機能を持っているからだそうです。


スパナやめがねレンチは、ボルト・ナットを回すことだけを考えられて作られた工具。なので、回すことに関しては非常に優れていますが、それ以外の作業は全くできません。逆に、このプライヤは、モノを挟んだり、ワイヤーを切ったりといったマルチ機能を有しています。どちらかといえ“便利工具”に含まれるのかもしれませんね。


ですので、プライヤに含まれるラインナップもさまざま。大型のパイプなどをつかむ時に便利な「ウォーターポンププライヤ」、スナップリングの脱着に優れる「スナップリングプライヤ」。銅線や鉄線、ピアノ線などを切断する場合は「ニッパ」が優れています。日本で一番普及しているといわれているのは「ペンチ」。銅線や針金を切ったりすることが得意です。私は祖父が工場に勤めていた関係もあって、小さい頃はこれを使って、銅線を切るお手伝いをした思い出があります。

 

サイクリストの皆さんがこれから工具を揃えていく時、私からのお勧めは、まずコンビネーションプライヤを持っていただきたいですね。チェーンリングの取り外しや、ブレーキワイヤーなどを挟んだり。場合によっては、ボルト・ナットを回すこともできます。各々の作業に、ワイヤーカッターや、チェーンカッター、チェーン着脱用プライヤなどがあるものの、まずは、コンビネーションプライヤで。

最近では少なくなったものの、以前のクルマには必ず、車載工具の一部として搭載されていたくらいです。グリップの大きさはさまざまですので、工具を選ぶ際は、実物を握って自分の手に合うかどうか確かめてくださいね。

コンビネーションプライヤの使い方