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本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。
一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。
(cyclist掲載日:2014/4/20)
#37ボルト・ナットをしっかり捉えて安全な「めがねレンチ」便利で豊富なバリエーション
工具に新たに触れられる方が多くなる時期、今回も、これは押さえておいて欲しいという情報をお届けしましょう。
最近ご紹介させていただいているスパナや、めがねレンチは、ボルト・ナットのサイズに応じて、サイズが変われば、別のレンチが必要となる、いわゆる単サイズ対応型のモノが殆どです。良い点は、キッチリとボルト・ナットのサイズに合うため、ボルト・ナットを痛めにくいという点があります。ただし、ボルト・ナットのサイズが多い場合は、多くのレンチを使い分けなければならないという弱点もあります。
できれば、一本でたくさんの種類のボルト・ナットを締め緩めしたい、なんて思いもでてきますよね。そんな人に便利なのが今回のコレ。
「アジャスタブル」って英語があります。翻訳すると「調整ができる、加減が出来る」となるこの意味を持ったレンチ類があるのです。Adjustable Wrench(アジャスタブルレンチ)類とよばれ、シリーズの総称と考えていただければよいかなと思います。
代表的なものは、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「モンキレンチ」。英語での俗称もMonkey wrenchですが、正式には、このアジャスタブルレンチに含まれます。
モンキレンチの名前の由来は、この工具の原形を発明したCharles Moncky氏の名前に由来するという説や、モンキレンチの原形となった工具の頭部が、猿のような形をしていたという説などがあるそうです。ちなみに、ついつい「モンキー」と伸ばしたくなりますが、JISでの規格名称が「モンキレンチ」なので、通っぽく伸ばさず呼んであげてくださいね。
これらのアジャスタブルレンチに含まれる工具類は、モンキレンチの他に、上あごと下あごの歯を引っかけることで水道管やガス管などのパイプを回すことができる「パイプレンチ」、そしてナットの角を包み込むように保持できる「タイロッドロックナットレンチ」があります。タイロッドロックナットレンチは、自動車のタイロッドのロックナットを締めたり、緩めたり出来るレンチですが、モンキレンチとしても使うことが可能です。
使い方は、いたって簡単。ウォームと呼ばれる調整部がありますので、それを回して、ボルト・ナットが口径部に入るまで広げます。次に、上あごの面をボルト・ナットにピッタリつけた状態で、ウォームが回らなくなるまで下あごを寄せ、ガタが無いことを確認してから回します。注意してほしいポイントは、レンチを回す方向。必ず下あご側に回して下さい。逆に回してしまうと、工具を壊す原因にもなりますし、怪我をしてしまう可能性も増加します。
ここで、復習!! スパナを紹介した時に、ボルト・ナットをスパナは2点で捉えているというお話をしました。実は、このモンキをはじめとしたアジャスタブルレンチの大半は、スパナ同様ボルト・ナットを2点で捉えるモノが多いので、大きな力が必要な場合には、向かない工具なんですね。
少々ふくよかなボディを持っていますが、めがねレンチなどに比べると、包み込む力は弱いです。お使いの際には気をつけてくださいね。