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本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。
一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。
(cyclist掲載日:2014/4/6)
めがねレンチは、連載第36回でご紹介したスパナと同様、ボルト・ナットの締めつけなどができる工具です。グリップ部の両端にボルト・ナットに合致する口径部がついており、正面からみると、眼鏡の形状に似ていることから、めがねレンチと名付けられたそうです。工具の基準を定めているJISの表記では、オフセットレンチ(offset wrenches)とも表記されています。
機能の特徴としては、スパナがボルト・ナットを2点で捉えるのに対して、このめがねレンチは、6点で捉えることが出来るため、大きな力を加えることが出来ます。また、口径部がリング状になっているためボルト・ナットから外れにくく、均等に荷重をかけることができるので、安定した作業を実現してくれます。外れにくいということは、強い力で締めつけた際に、ボルト類からレンチが不意に外れて怪我をする危険が少なくなるので、安全性でも優れています。
さらに、6点でボルト・ナットを捉えられるため、頭部がスパナよりもコンパクトに作られています。つまり、狭い場所での使用が可能になるメリットもあるということですね。
また、柄部の長さと角度の種類が豊富であり、作業環境に応じてレンチを選べます。ロングのタイプが一般的ですが、ストレートやショートなど、さまざまな場面に応じて使い分けていただけるといいと思います。
最も一般的で使い勝手のいいロングタイプは、大きなトルクを掛けやすく、柄部がオフセットされているため、床面など平らな場所にあるボルト・ナットに使用する場合でも手を入れるスペースが確保されます。さらに、窪んだ場所にあるボルト・ナットにも使用できます。
自転車メンテナンスでは登場回数が少ないかもしれませんが、オフセットしたレンチが入らないような、奥まったスペースにはストレートタイプが有効です。超ロングなタイプもありますので、大きな力をかけたい場合は、これがお勧めですね。
「大きな力は必要ないよ」という方には、ショートタイプが有効です。持ち運びにも便利ですし、バッグの中に忍ばせておくと、リスク回避になるかも知れないですね。
めがねレンチは、バリエーション、サイズが豊富で使用用途も幅広いレンチといえます。高級ロードバイクには六角穴付きボルトが多用されているため、使用する場面は少ないのですが、お子様の自転車やシティサイクルをメンテナンスする場合は登場回数が激増しますので、ぜひお持ち下さいね。