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本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。
一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。
(cyclist掲載日:2012/10/07)
前回:#7 パンク修理にはタイヤレバーと、「やってみよう」という気持ち
前回のパンク修理の結果は、至って良好。快適サイクリスト生活を楽しんでおります。
さて今回は、自転車をメンテナンスするだけじゃなく、いろいろな場面で役に立つ工具を紹介したいと思います。持つべきは、“友”! DIYシーンでも活躍する「モンキレンチ」です。
工事現場で作業する方が腰袋に忍ばせていたりしますが、もしかしたら、テレビドラマの殺人現場の鈍器として、見かけたことがある方も多いのではないでしょうか…あまりよい例ではないですが。形は、図のような感じですね。
柄と一体型の上あごと、可動する下あごでボルトやナットを挟んで回す構造をしています。モンキレンチの真ん中の「ウォーム」と呼ばれる部分を回し口径を変えられるため、1人で何役もこなす働き者です。
全長は150~300㎜が一般的。メーカーによっては100㎜程度のミニ型や、600㎜の大型サイズのものを、プロ向けに揃えているところもあるようです。
自転車のメンテナンス作業を中心に考えるのであれば、200㎜くらいのサイズが適しています。もう少し欲張って、「DIYシーンでもばりばり使えるものを!」ということであれば、ワンランク大きい250㎜サイズがお勧めです。
使い方は、簡単。まずは、ウォームを親指で回して、ボルト・ナットが口径部に入るくらいまで、広げて下さい。次に、上あごの面をボルト・ナットにピッタリつけた状態で、ウォームが回らなくなるまで下あごを寄せ、ガタがないことを確認してから、ボルト・ナットを回します。
この時注意する点は、回す方向です。必ず、下あご側に回して下さいね。モンキレンチの下あごは、可動するという構造上、上あごよりも強度が小さいためです。
また、可動式であるがために口径部にガタが発生しやすく無理なトルクはかけられません。スパナと同様にボルト・ナットを2面でしかとらえないという点から考えても、しっかりとした締め付けが必要な場合には、ボルト・ナットを6面でとらえる「めがねレンチ」などを使うようにして下さいね。特に、大きなサイズのモンキレンチで小さいボルト・ナットを回すときは、ガタが大きくなるため注意して下さいね。
モンキレンチは、工具ショップやホームセンターなどで幅広く取り扱っています。持ってみたフィーリングや価格などで選べるとよいのではないでしょうか。
ところで、少しかわいらしい名前のモンキレンチ、日本では正式名称となっています。由来は、現在のモンキレンチの原形となる工具を発明したCharles Monckyの名前だったからという説や、モンキレンチの原形となった工具の頭部の形状がお猿のような形をしているからという説があります。ちなみに、英語での俗称も“Monkey wrench”ですが、正しくは“Adjustable(調整が可能な、の意味)wrench”と言っています。