Index
本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。
一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。
(cyclist掲載日:2013/11/24)
#31工具が滑って「しまった!」に効く、「ツイストソケット」 通常の工具では緩められないボルトたちへ
昨今の自転車販売状況は高価格帯の販売台数が堅調であり、ハイクオリティな素材を採用するロードモデルなどは特に、メンテナンスに対してもハイレベルな作業が要求されてくると想定されています。
カーボン素材などの採用によって軽量化した自転車には、シビアなトルク管理が必要ですよと、サイクリストの皆様にお伝えしてきました。おかげさまで、多くの場で、トルク管理についてのお問合わせをしていただいたり、購入したといった声を聞くようになりました。「まずは、トルクレンチが必要ですよね」という、ありがたいお言葉も。
ただ、難しい問題も残っていました。それは、幅広く存在するトルクへの対応でした。自転車だけでなく、自動車、二輪など、部品の取り付け部分には、ご存知の通り多くの種類のボルト・ナットが使用されています。以前にもお話ししましたように、ボルト・ナットには、締付け対象部材の素材や形状、ボルト・ナットのサイズなどで、適正な締付けトルクが設定されています。
そこで、少しおさらい。トルクとは、図でもあらわすように「Lの長さのレンチで、Fの力をかけた時にボルトに与えられる回転力T」と言うことができます。ネジを締める力というのは、この回転力のことだとご説明しました。
回転力ですので、プレート型やプレセット型のトルクレンチを使用した場合、ボトムブラケットなど、自転車でも比較的高いトルクで締め付けている部分に関しては、非常に使い易く、確実な作業をしていただけます。ただ、このタイプのレンチの弱点として、小さなボルトをトルク管理する場合に使いづらいといった声がありました。プーリーケージや、ディスクブレーキのパッド、ワイヤー関係など、特に10N・mを下回るような部分がそれに該当します。
他の作業環境でいうと、精密機器や家電などにもそのような低トルクでの締付けを要求される場合も多々ありました。そこで、少し発想を転換。ドライバーでトルク管理が可能なタイプを、発売させていただくこととしました。「なぜドライバー??」と思われた方、図を見直して下さいね。
回転力を与える際には、長さが必要になります。ただし、低いトルクであれば、その長さはあまり必要ではなくなります。ですので、あえてドライバーのタイプにし、低いトルクでのトルク管理作業を実現したのです。それも、デジタルで。
タイプは、3タイプ。1~5N・mの測定範囲モデルは、まさしく、ハイクオリティなメンテナンスにぴったりだと思います。
少し長くなりますので、使いやすさを追求した機能面のご紹介は、次回。