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本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。
一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。
(cyclist掲載日:2013/7/28)
#25「パワーセンサー」搭載のデジラチェ 誰もが100点満点の締付けができるようになる!?
京都生活が長かった私は、盆地の夏の暑さを知っているつもりでした。京都駅で新幹線を降りた時のムワッとした感覚はたまらないですが、今年は、東京の方が暑いような気がします。
前回までのデジタルな“ともだち”のお話、いかがだったでしょうか?
KTCでは、時代とともに要求される品質や機能を追い続けてきた結果、現在の一番良い形としてデジタル化を行ない、勘に頼らないトルク管理を進めてまいりました。今では展示会などでも、より多くの方に興味を持ってもらっていることを感じています。
ところが、「デジタルのトルク管理は100点満点」なんて申し上げたものの、落とし穴もあります。その理由のひとつに、ボルト・ナットの締付けは永遠に完璧な状況が続かないということがあげられます。
決められたトルク値を無視した締付けは論外ですが、トルクレンチの使用方法が正常であったとしても、走行時の振動や微妙なボルトの変形などにより、緩みが発生してしまう場合があります。自転車であれば、特に高速域での走行が多い場合やMTBなどでの舗装されていない路面の走行、ギャップの乗り越えなどで車体やボルト部に衝撃が加るほど、その緩みは加速してしまいます。
車をお持ちの方なら経験があるかもしれませんが、タイヤ交換の際に、「交換後100km程度走行したら、増し締め・チェックをお願いします」というように言われることもありますね。これは、タイヤ交換時にキッチリとトルクレンチで締付けが行なわれていたとしても、走行によって緩みなどが発生する場合の防止策として注意をうながしているのです。
ボルト・ナットが適切に締付けられている状態というのは、「別れを惜しんでん離れようとしない終電待ちのカップルのように、お互い逆方向へ向かってはいるけれども、離れずに動かない状態」(第1回)です。ボルトとナットを締付けたことで、ボルトに戻ろうとする力が発生し、バランスよく対象物を挟んでいるのです。
喧嘩などの“余分な力”が発生した時に関係が悪化してしまうように、振動などで締付けのバランスが崩れてしまいます。ですから、一度だけ決められたトルクで締めつけたとしても、その後も必ず定期的に締付け確認を行なう必要があるんです。
じゃ、いつやるのか? できれば、ロングライドイベント前やハイスピードなレース前のメンテナンス時には、必ず行なってください。「そんな面倒な」なんて思わないでください。ケガや事故を未然に防ぐ、素敵なパートナーと末長くお付き合いしていただくための、ほんの少しのチャレンジですので。
KTCのデジタル型トルクレンチの一覧をご紹介
https://ktc.jp/catalog/index-category/category-list/gna010-02__gek085-r4
トルクレンチの選び方についてはこちら!
https://ktc.jp/torque/select.html