『工具はともだち』について

本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。

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工具はともだち<22>トルク値を目で見て確認 “デジラチェ”を含む3種類の「直読式」トルクレンチ

(cyclist掲載日:2013/5/19)

 

前回#21カチッという音と振動で締付けトルクを教えてくれる2種類のシグナル式トルクレンチ

 

関東では夏日も観測され始めたこのごろ、私のフェイスブックには、週末ともなるといろいろな地域で、自転車を楽しむサイクリストの皆さんの姿がみられます。テレビの海外レース放送なども充実し、インドア、アウトドアの両方で、アクティブな自転車シーズンとなってきたのではないでしょうか。

 

私は、前回紹介したシグナル式プレセット型トルクレンチを使用して、愛車のタイヤ交換を実施…といっても自転車ではなくクルマですが。スタッドレスタイヤから夏タイヤに交換するこの作業をするといつも、季節が変わったのだと実感します。

シグナル式のトルクレンチは、トルク値をあらかじめ設定し、その数値に到達すれば、カチッとした音と振動で認識できるといったシンプルな工具。使いやすいのでとてもポピュラーです。

 

一方で難点は、手の感覚で把握をするため、気づかなかった時にはそのまま回し続けていってしまい締付け過ぎとなる可能性があるということ。ボルトが変形して元に戻らなくなる塑性域(そせいいき)に入るような締付けを繰り返していくと、いずれ破断・ねじ切れてしまうといったことになります。

 

降伏点

 

大型車のトラックのタイヤが脱輪し事故になったというような、締付け過ぎが原因で起こったクルマの事故は過去に何回かありますね。

ロードバイクのメンテナンスでも、多くの方がこのプレセット型を使っています。締付け過ぎが原因で走行中にパーツが破損…なんてことにならないよう、再度取扱説明書に基づいた正しい使用方法をご確認ください。

トルクレンチを大きく分類すると、もうひとつのタイプ、「直読式」があります。直読式のトルクレンチの特徴は、“直読”という字のごとく、トルクを自分の目で確認しながら、確実な締付けを行なうことができるというところです。
直読式には、ビーム型、ダイヤル型そしてそれらのタイプをデジタル表示できるようにしたデジタル型があります。ビーム型は弓矢型とも呼ばれ、トルクレンチの基礎ともされているタイプです。

 

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※KTCではビーム型は全て生産終了

 

技術の進歩により、最近ではあまり見かることも少なくなりましたが、このビーム型のトルクレンチで精巧なエンジンの組付けをするプロの技に憧れたものでした。現在でも、一部の工業専門学校などでは、教材用として利用しているようですね。

 

 

ボルト、ねじの締結についてはこちらをチェック!

ねじの基礎知識

https://ktc.jp/kiso/lesson/screw.html

 

トルクレンチの基礎知識

https://ktc.jp/torque/