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本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。
一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。
(cyclist掲載日:2013/4/21)
前回は、適正な締付けトルクを表すための計算式を紹介しました。こういう計算式があるんだなぁということを覚えていただくとして、今回はその計算式をいとも簡単に、トルクに変えてくれる工具(ともだち)「トルクレンチ」の紹介をします。
▲前回解説のトルク計算式
ねじには、適正な軸力が設計時に設定されているのですが、軸力の測定するする機器や環境は専門的で高価だったため、それに代わる測定方法としてトルク値を参照する締付けが行なわれるようになりました。
そして、締付け不足によるねじの緩みや締付け過ぎによる部品類の破損、締付けの個人差による品質のばらつきを防ぐため、多くの作業現場ではトルクレンチが用いられるようになりました。もちろん、カーボンなど高価な素材を使用する自転車の世界においても、例外ではありません。
トルクレンチは、形状・構造によって「シグナル式」と「直読式」に分類することができます。今回取り上げるのはシグナル式。あらかじめ締付けたいトルクを設定しておき、カチッという音と振動で締付けたいトルクに達したことが分かるトルクレンチです。
シグナル式トルクレンチには、トルク幅をユーザーが設定できる「プレセット型」と、メーカー出荷時にあらかじめ締付けトルクが設定されている「単能型」とがあります。
最近では、トルクレンチと言えばコレ!…といわれるほど、シグナル式はポピュラーな工具です。その理由は、構造がシンプルで使い方が簡単だから。あらかじめ締付けトルクを設定しておき、ラチェットレンチと同じようにゆっくり、力を入れるだけ。締付けたいトルクに到達すれば、カチッとした音と振動でトルクレンチを持っている手に緩い振動を与えてくれて、お知らせしてくれます。
振動でお知らせしてくれるため、自動車のタイヤ交換時など繰り返しの締付け時には、その威力が思いきり発揮されます。ねじの本数が多い場合などは、多くの方がこのタイプを好んで使っているようですね。高価な工具類の中でも、比較的安価で手に入れやすいですしね。
ただ、ひとつだけ難点が。シグナル式トルクレンチは、トルクに到達した時点で振動を与えてくれるものの、そのまま力を入れ続ければどんどん大きな力で締付けることができてしまいます。締付け過ぎたことが、わかりにくかもしれません。
次回はもうひとつのタイプ、直読式トルクレンチを紹介します。
・プレセット型トルクレンチ
https://ktc.jp/catalog/index-category/category-list?pcategory=96&ccategory=203
・単能型トルクレンチ
プレロック型シリーズ
(メーカー出荷後専用機器を使用して任意のトルク値に固定)
https://ktc.jp/catalog/index-category/category-list?pcategory=96&ccategory=353
WCMPAシリーズ
(メーカー出荷時点でトルク値が固定)
https://ktc.jp/catalog/index-category/category-list/wcmpa085__108