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本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。
一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。
(cyclist掲載日:2012/10/28)
前回#9ワイヤーを張ったりグリップラバーを外したり…「はさむ・つかむ・回す・切る」は「プライヤ」にお任せ
秋の味覚をめぐるには、自転車がぴったり。先日も、食欲に誘われながら、東京の街中を10km程走りました。自転車率が高いのは嬉しいのですが、危険な走行をされている方も、多少はいらっしゃる様で…。
「マナーを守って走りましょう」ということと同じなのですが、工具(友達)との付き合いも、ルールやマナーを守らなければ、不仲になったり、最悪の場合、けがをする可能性があります。
今回は、「こりゃまずいよ」という工具の使い方をご紹介します。ここに掲載されているからといって、絶対に真似をしないでくださいね。
「固いネジ、短い工具じゃぜんぜん緩まなかったし、延長補助具を使って回しちゃったよ」
非常によく見られるケースなのですが、NGです。工具とボルト・ナットが嵌合(かんごう)する部分は、JIS規格をベースに、想定した強度まで耐えうる状態に設計しています。工具が長くなるほど、嵌合する部分にかかる力も大きくなっていきますが、パイプなどを用いて延長してしまうと、本来の工具の長さを超え、開発段階で想定していた強度を超える力がかかってしまうのです。
これは、変形もしくは破損といった結果を導いてしまいます。自転車のメンテナンス場面では、それほど固く締まったネジはないかもしれませんが、車のタイヤ交換などをされる場合には、適切な工具が無くて緩まなかったとしても、延長補助具を使って回さないで下さいね。
「このドライバ、叩いてもいいんですよ。軸が貫通しているタイプだし」
NGです。“貫通タイプのドライバ”とは、グリップエンド部まで軸が貫通していて、多少の衝撃には耐えれるように製造されているもの。また、固く締まったネジに振動を与えることで、緩みやすくする効果が望めます。ただし、貫通タイプのドライバでは、本来の機能以上の作業となりますので、先端の摩耗進行が想定よりも早くなりますし、破損の可能性も高くなります。
▲右:衝撃を与えることで回転させるインパクトドライバ(SD6A)
ドライバーには、ショックを与える“専門家”があります。その名も「インパクトドライバ」(ショックドライバとも呼ばれています)。インパクトドライバは、ハンマーなどの衝撃を回転方向に変化させる構造になっており、固く締まったネジを緩めてくれます。ギア周りで使用することも可能なので、緊急用で持っておくのもいいかと思います。
サイクルメンテナンスではほぼ無いケースですが、この貫通タイプの要注意ポイントがあります。
電気に関わる作業で使用する場合です。グリップエンド部まで金属の軸が繋がっていますから、最悪の場合感電してしまいます。電気に関わる作業には、絶縁を施したタイプもありますので、そちらをお選び下さいね。
NG例、いかがでしたでしょうか。サイクルメンテナンスの際にも頭の片隅に入れておいていただいて、愛車や皆さんの安全のために正しい使用方法でお願いします。次回も、誤解や誤使用をご紹介します。