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本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。
一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。
(cyclist掲載日:2012/10/13)
前回:#8一家に1つ「モンキレンチ」コツをおさえて便利に使おう!
スーツが秋冬物になる季節になりました。じてつうをしていても、少し肌寒く感じます。愛車は至って好調ですが、お勧めのアウターを知りたい今日この頃…。
今回も引き続き、自転車をメンテナンスするだけでなく、いろいろな場面で活躍する仲間をご紹介します。「コンビネーションプライヤ」です。
一般的には、「プライヤ」という名で呼ばれています。ハンドツールの世界では珍しく、「はさむ」「つかむ」「回す」「切る」といった複数の機能を兼ね備える工具です。ホームセンターなどでの取り扱いが多いので、ご家庭でお持ちの方も多いのではないでしょうか。
使い方は、下右図のように柄を90°近く開いてジョイント部をずらし、つかむ相手に応じて口の開きを調整します。
あごの先端では、板状のものを、中央部ではアールのついたものをつかむことが出来ます。また、あごの奥では、ワイヤーなどが切断出来るカッターの機能もついています。
“出没”場所は幅広く、例えば工具袋。工具袋は、みなさんの自動車のグローブボックスやトランクボックスの中にセットされているもので、その中にプライヤが忍び込んでいるんです。現在では、従来の車に比べ、新車時に搭載されている工具は非常に少なくなりましたが、プライヤはそんな中でも搭載され続けているようです。
自転車のメンテナンスでは、ワイヤーを引っ張ったり、グリップラバーを外したりする時に便利です。また、ボルト・ナットをつかんで回すことも可能です。ただし、取り扱いにはご注意を。
例えば、六角穴付きボルトを回すことはできますが、キズが発生しやすくなります。万能選手な工具であっても、より確実に作業するには、やはり専門の工具が勝ります。繰り返しになりますが、用途に応じた使い分けが大切です。和食好きの彼女と、イタリアンでデート。喜んでくれるとは思いますが、「次は和食ね」って言われるのと同じようなものでしょうか…。
プライヤの購入にあたっては、私からアドバイスがひとつ。図にあるように、口の開きを大きくした際、グリップエンド部が締まりきらない仕様になっているものが、お勧めです。ここに手が挟まれると、かなり涙目になります。実は私も以前、痛い目にあいました。
そして、自転車でなくともメンテナンスは大切。「切る」機能が付いている工具は、切断能力を確保するため、多くが鍍金の表面処理を施されていません。使った後、そのまま放置では、機嫌を損ねて錆びてしまいます。特に雨にぬれたりしたら、きちんと水分を拭き取って、潤滑剤などを塗布してあげると喜びますよ。