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本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。
一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。
(cyclist掲載日:2012/09/03)
前回:#5 炭素鋼からクロモリまで 工具の素材 “鉄”を探る
朝晩、だいぶ過ごしやすくなってきましたね。走りに出たところ、愛車のリアタイヤがパンクしてしまう羽目に。「絶好のメンテナンスチャンス!」と前向きに捉え、必要な修理道具や部材を物色したのは最近の話です。
今回は、六角レンチに関係する工具たちを紹介していきます。
まずは、先端が六角棒になった「ヘキサゴンドライバー」。
▲樹脂柄ヘキサゴンドライバ D1M-015~08
皆さんのご家庭にも1本はあると思われるドライバーのグリップに、自転車整備によく使われている六角棒が付属したタイプです。
親しみのあるドライバー形状なので、慣れた使い心地で扱ってもらえると思います。
グリップと軸の間が六角形状になっているのも特長のひとつで、固く締まったボルトを回す時には、スパナなどの工具を補助的に使用して、より強い力が発揮できるようになっています。
その他、アルファベットのT型をした工具もあります。KTCでは、「T型ヘキサゴンレンチ」や「T型六角棒レンチ」をラインアップしています。
▲T形六角棒レンチ HT10-2.5~10 (左) T形ヘキサゴンレンチ HTH-4~8(右)
自転車では、あまり用途が無いかもしれませんが、足の長い友達(工具)なので、例えばオートバイのエンジンの奥まった場所にあるネジを締めたりゆるめたりするときに、適していますね。
急いでいる時にはハンドル部分を上手く活用すれば、ネジの早回しも出来ます。ですので、このT型ヘキサゴンレンチは、四輪や二輪のモーターレース現場では、非常に好まれて使用されており、“F1メカニック御用達”の商品とも言えます。興味がある方はぜひ、F1の予選放映の時に映し出されるピット映像をよく見てみてください。
この2つの工具は、折りたたみ型のヘキサゴンレンチとは異なり、1本でひとつの工具となっています。持ち運びには向いていませんね。メカニックが使用する“本格派”の工具を使って、休日に家でじっくり、コーヒーでも飲みながらメンテナンス…なんてことを想像される方にとっては、“親友”になってくれることと思います。私も、折りたたみよりはT型ヘキサゴンレンチ派です。
最後に、今回紹介した2種類の工具で自転車整備をする際に共通する、大切なポイントまとめます。
1つには、自転車に使われている六角穴付きボルトは、ボルト径に比較して六角穴が小さいため、それを動かすレンチに対する負担が高くなってしまうということ。固いからと言って、何か延長物や補助的な物を付けて回すと壊れてしまう可能性がありますので、気を付けましょう。
また、工具はボルトの奥まできっちり差し込んでください。ガタついた状態で使用すると、友達が足を滑らせて、ネジから外れてしまうこともあります。工具は外れてしまったら、大事な自転車にキズがついたり、場合によってはみなさんがケガをしてしまう場合がありますので、注意してくださいね。