ENEOSスーパー耐久シリーズ 2024 第5戦SUZUKA S耐

チームAutoLaboにメカニックとして参戦するKTCスタッフの参戦レポートをお届けします!

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前回トラブルの原因究明・・・

みなさんこんにちは。
10月になったというのに、毎日30℃近い気温が続いて、短い秋になりそうですね。
9月には、鈴鹿 S耐が行われたのですが、前回もてぎ大会にて、エンジンが吹けあがらなくなるトラブルが発生。現地にて対応したものの、改善出来ずにいました。今回は、鈴鹿大会前に、そのトラブル対策からスタートです。


大会約一週間前の9月20日、我らの基地オートラボにて、トヨタ自動車関係者の方にお越したただき、エラーチェックを実施。しかしながら、トラブルの根本的な原因が発見出来ず。翌日、本体・ハーネス類を含めた、エンジン交換を慣行。それでも、現象の改善が見えません・・・。


翌々日、本戦間近の月曜日。もう一度、ハーネスの再チェックやセンサー類の交換を実施するも、素ヤリスの機嫌は直ってくれません。翌日も、前日チェックした以外のセンサー類の交換などを実施。これで、直らなければ、欠場も止む無しとの状況でしたが、なんとかエンジン(ECU)のエラーはなくなり、エンジンが始動してくれました。


根本的な原因究明までには至りませんが、走れる状態にはなり、本戦へのスタートがきれました。

移動

いつも通り、木曜日にオートラボに集合。車両や機材を積車に積み込み、いざ戦いの場、鈴鹿サーキットに向かいます。前戦のもてぎに比べれば、移動時間も半分以下。7時出発、10時頃には、サーキット到着です。すぐに搬入、ピット設営を完了。着々と準備を進めていきます。


一つ違うのは、前回のトラブル対策を行うために、今回は、トヨタ自動車のスタッフも同行。原因究明のために、もう一台、ヤリスを持ち込み、午前中は、データ取りを実施しました。このようなメーカーの体制は、我々のチームにとっても、これから、参戦を目指そうというチームにも非常に心強いことですね。
我々も、もっといいクルマ作りに少しは、貢献出来ているのかな・・・。
データ取り後の午後は、アライメントの調整や、走り出しのセットアップを実施し、パーツ類の緩み、損傷がないかなど、細かなチェックを行って、準備は終了です。

公式練習

翌日、金曜日から、走行が始まります。
まずは、公式練習。走行時間は午前60分×1回と、午後に120分×1回が割り当てられています。午前1本目は、Aドライバー、Bドライバー、Dドライバー(S耐初参戦)の慣熟走行に充てました。その後、午前2本目は、Cドライバーによるマシンのセットアップの確認と、残った時間で、その他3人が練習走行を行いました。特にマシンに異常、ダメージも見られず、無事練習走行も終了です。いつも以上に順調です。

 

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走行終了後は、我々メカニックの出番。エンジンオイルの交換やフロントブレーキローター及びブレーキパッド交換、その他車内外の緩みチェックです。必要に応じて、トルク管理も行います。明日からも安全に走ってくれよ、という我々の思いで、メンテナンスのモチベーションも、上がってきます。

 

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予選

翌日の土曜日は、予選が行われました。

午前中に60分のウォームアップ時間が設定され、車両チェックを行いました。しかし、車両チェック及び練習を行うが時間が少ないことから2~3周ずつ走行しながら、チームの作戦としては、決勝を見据えたドライバー交代の練習を中心に実施。走行以外でロスタイムを最小限に抑え、少しでも上位を目指そうというチーム方針です。

 

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さあ、予選スタートです。
鈴鹿は直線が多いことから、クラス内でもタイム差が出やすいのですが、ドライバーもマシンの特長をよく理解して今年は走行できるので、上位車両と遜色ないタイムとはいかないものの、確実に昨年よりもタイム差は縮まった走行ができるようになる成長ぶり。
Aドライバー(20分)Bドライバー(20分)の予選アタック、その後30分のインターバルにて決勝用のブレーキへ交換。今回のDドライバーには、燃料が多い感覚を知って欲しいことから、ガソリン満タンのチェックも兼ねて満タン状態で、予選(20分)を行いました。Cドライバーがブレーキ焼入れを行いながら予選、その後Dドライバーに交代。映像などではなかなか、見えない部分ですが、チームとしては、ドライバーのレベルや経験などを踏まえ、役割分担をし、走行を行っています。
CドライバーからDドライバーに交代するパターンは、初のS耐参戦パターンでしたが、良いタイムで走行。予選はクラス15番手となりました。

 

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今回も、ここまでは、順調です。このまま明日のチェッカーまで・・・と、翌日に向けて車両チェックやガソリン満タン量から決勝でのピットタイミング等の作戦会議を、チーム全員で行い、予選日はあっという間に終了してしまいました。

決勝

日曜日、決勝です。
決勝日当日の午前中は、ヤリスカップカーの決勝もあり、いつもよりは、少しゆっくりとホテルを出発。ちなみに…ヤリスカップカーでは、オートラボで以前走っていたドライバーやメカニックたちが、カテゴリーを変えても、奮闘、活躍していたそうです。


決勝日は、朝から雨が降っていましたが、少しずつ天気は回復。決勝が始まる頃には、雨は止んでいましたが、部分的に、濡れた路面もあり、タイヤ選択が非常に難しい状況です。半面、選択したタイヤと路面状況が、うまくマッチすれば、上位入賞も、狙える状況です。我々は、スタート進行として、ウェットタイヤをつけてピットを出て、グリッドにて整列しました。グリッドに行くまでの路面状況をドライバーから聞き、路面は濡れているもののこれから、乾く方向との判断を行い、急遽、グリッドにてドライタイヤに変更です。
この変更が、どのような結果に繋がるか、緊張の一瞬です。


タイヤ交換後、少しして、フォーメーションラップが始まり決勝がスタート。

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スタートはAドライバーが担当。前戦と同じように、危険な時間のスタート後の混乱に、今回も巻き込まれることなく順調に走行。しかしながら、ぬれた路面をドライタイヤで走行しているため、非常に運転が難しい状況で、想定よりもタイムが上がりません。


レギュレーション上、Aドライバーは75分以上の乗車義務があり、難しい路面に苦労しながら、規定時間走行後1回目のピットインを実施。車はフロントタイヤの交換と20ℓの給油を行い、ドライバーをDドライバーに交代です。Dドライバーは、ヤリスカップでも1桁順位の実力者。期待がかかります。彼は、ガソリン30リットル(計算上)が無くなるまで走行します。タイムは初めての参戦とは思えない耐久レーサー向きのブレ幅の少ないタイムで走行。安定した走りで、75分走行し、約4リッター残しで再びピットイン。

このピット作業でも、フロントタイヤと給油(20ℓ)を行い、ドライバーを交代。

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本来は、このスティントも75分走り上位を狙いたい時間帯ですが、どうしても、想定時間を走り切るのには、ガソリンが足りず、且つ、いつでも20ℓの給油が出てくることから、FCYやSCのタイミングでのピットを狙いつつ、ガソリン残量で、走れるところまで走行していく作戦を慣行。しかしながら、レースは接触等のトラブルもなく、SC等も出そうにはない状況で、再び20ℓの給油のみのピットインを行います。
給油作業中に車には触れることはできないので、目視でリヤタイヤの状態を確認。タイヤの状況は、非常によく、無交換と判断。この判断で、その後75分になるまで走行すると、また20ℓの給油を行うことが出来る状態となり、ピット作業を最小限に抑えることができるようになりました。順調です・・・。


レースも残り75分を切ったところで再びピットイン。最後のCドライバーに交代とフロントタイヤと給油の作業を実施。この時点で10番手を走行。9位との差も30秒ほどです。
まだまだ上位を狙える状況です。ただ、ガソリンの残量には不安が残っています。
そんな心配の中、Cドライバーに交代してすぐにドライバーから悲鳴のような無線が。「メーターにチェックランプがついている」と・・・ドライバーとの無線のやり取りから、ブレーキ関係のトラブルではないかと分かった為、ピットイン準備を行います。
ピットで作業に掛かれるメカニックは、最大4名。4人のメカニックがそれぞれ、ECUの確認・ブレーキフルードの確認・左右リヤドラムブレーキの確認を行います。一通りのチェックを行いましたが、マシンに問題が無いことが確認でき、再びコースイン。メカニックの経験、24時間の教訓もあり、各メカニックの動きは非常に冷静で、ピット作業のロスは、最小限にとどめ、マシンをコースに送り出すことが出来ました。


コースイン後の順位も10位をキープ。順調です!!!

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その後も、我らの素ヤリスは順調に走行を続け、念願の今シーズン初めての完走を達成。
ポイントを獲得することが出来ました。
ドライバー、メカニック、チーム関係者、全てが緊張感を持ちつつ、冷静に役割を果たした結果、ここまで辿り着くことが出来ました。が、安心はしていられません。
すぐ、次戦が待っています。

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今回、ブレーキのトラブル(センサー)もあり、場合によっては、今回の結果を得られなかった課題も残りました。チームは、レース終了後から既に次のレースに向けた準備を
行っています。
レース動画の確認、チェックランプ点灯のタイミングや状況整理、ロガー分析等など。
次戦岡山では、もっと安定、上位を目指すべく、今も対策を実施しているところです。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

リンク

スーパー耐久公式サイト

https://supertaikyu.com/

Kunimatsu Auto-Labo

http://www.auto-labo.net/