白熱のスーパー耐久シリーズ3・4戦をレポート

ENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE 「第3戦 SUGO (7/8~7/9)」と、 「第4戦 オートポリス(7/29~7/30)」へ参加した、KTC社員花﨑氏のレポートをお届けします!

Image20230822111141

 

レースに強いFR車。安定な走りのFF車。

チームAutoLaboが昨年から使用しているマシンはよくレース場で見る3枚ドアのGRヤリスではなく、5枚ドアの素のヤリス。

もちろん、FF車だ。

市販車として熟成された車である”素のヤリス”は、FF車ならではの抜群な安定走行性能だが、レースとなれば、レース場で熟成された他の車輌、特にFR車(ロードスター等)には劣る。

速い車輌に仕立て上げるのは、メカニックの腕の見せ所だ!

ピットワークでいかに一秒を短縮できるか

 レース車輌は、コンマ100分の1台で競い合います。

レース中、一番大きく時間を左右するのが、ピットワークです。

 

 ピットワークを早くするために、前回の大会の反省(現状把握)から始まります。

 

 ST5クラスは、燃料タンクが45ℓと決まっています。

車輌ごとの搭載スペースから専用設計や汎用品を使用しています。 素ヤリスの場合は汎用品を使用しており、45ℓになる様にボールを入れたり抜いたりして、容量調整を行います。

燃料タンクの構造は、アルミなどのケースの中に難燃性などの素材でできたガスバッグ(入れ物)が入っています。 このガスバッグが温度変化などで歪みが出たり膨らむ(ただし外側はアルミケースなので、内側方向に膨らむ)ことで、容量(体積)が減り、燃料の搭載が減ってしまいます。

 つまり、24時間レースの後は、タンクの変形などもあり40ℓ程度しか搭載できなくなっているため、元に戻す作業が必須になります。

素ヤリスの場合、23リットルで3~4周走れる程燃費が変わるため、容量を確保できれ

ば、ピット回数減にも繋がります。

このタンクの修正がピットワーク短縮の「カギ」となります。

Image20230822111052

 

いよいよ耐久レースへ!

安定した走行を生かし、雨でコースで大健闘

予選日の朝から雨模様。

路面が濡れているコースでは、FF車ならではの安定した走行で、大健闘の6位をキープ。

しかし、レース後半戦では、曇り空になり、路面が乾きだすと、ロードスターを中心としたFR車が勢いづき、性能差が露骨に。予選最終結果は、11位まで順位を落とすこととなってしまいました。

 決勝では、大きなトラブルもなく、11番手で完走することができました。

Image20230822111104

 

醸成されたFR車に対抗すべく、迎えたオートポリス大会

 真夏の5時間耐久レース、inオートポリス。

 オートポリスは、マシンにもドライバーにも、そしてメカニックにとっても難しい環境です。

 オートポリスのコースレイアウトは、国内の国際サーキットでは珍しく、ピットインが向かって右側から車輌が侵入します。慣れたメカニックでも 周囲の確認間違えから走行してくる車輌と接触しそうになることもある、難しいサーキットです。

 

 そんなことから、通常右側につけたアースポイントも左側に変更するなど、いくつかのパーツは、ピット側で作業できるようにしています。

 

 いよいよレーススタートです。

 スタートは大きな混乱もなく始まったのですが、 レースコントロールをしながら見ていたモニターに、白煙を出しながら走行している”素ヤリス”の映像と共に、ドライバーからの無線。スタートから僅か20分を過ぎたところでエンジンが壊れ、コース脇に止まってしましました。

 場内実況やS耐TV(YouTubeチャンネル)では、リタイアするという嫌な雰囲気に・・・。

 

 しかし、あきらめないのがチームAuto Labo。チーム代表即断した言葉は”リタイア”ではなく、”治すぞ!!”の一言でした。

 

 壊れた車両は、救済措置としてリペアエリアに運ばれます。 ピットのような整った作業環境ではなく7月の炎天下。

Image20230822111133

 車両がコースで止まってから運ばれてくるまでのおよそ30分間の間にスペアのエンジンや工具をリペアエリアまで運び、”素ヤリス”の到着を待つメカニック。 いくら整備しやすいように作られたレース車両もエンジン交換は大仕事です。

 

 メカニックやマネージャー、スポンサー様までがチーム一丸となって、車両の修復を行いました。 通常2時間以上かかるこの作業を100分程度で修復し、リペアエリアで再びエンジンが始動し、無事にコースに戻ることができました!

 

 しかし、レースの半分の時間しか走れなかったことから規定周回数に届かず、リザルトとしてはリタイア扱いとなってしまいました。

花崎氏のコメント

 炎天下の中、チームで取り組んだ結果、レースを最後まで走行することができました。そして、このようなレース中のエンジン交換は初の体験でした。

 残念な結果とはなりましたが、レース再開してから、残り2時間半ほどしかないレースをチーム一丸となって走りきれたこと、そして、会場の雰囲気にのまれず、リタイヤを選択しなかったことは、チームだけでなく、応援頂いた皆様の印象に残ったと思います。

 この経験をバネに、優勝目指していきたいと思います!

レースを応援しよう!

素のヤリスは、シーズン中もどんどん進化しています。ぜひ、レース会場で応援してください!!

 

スーパー耐久シリーズ2023スケジュール

 

2023/9/2-3 MOTEGI(ST5クラスは参戦なし)

2023/10/21-22 OKAYAMA

2023/11/11-12 FUJI SPEED WAY

 

レース詳細はコチラ!

SUPERTAIKYU.COM

 

KTC社員がメカニックとして参戦するレースに大注目!