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本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。
一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。
(cyclist掲載日:2013/9/8)
#28専用アプリとデジラチェで実現する、“トレーサビリティを確保したトルク管理”とは?
世の中のデジタル化に伴い、工具の世界でもデジタル化。前回はKTCの「メモルク」を紹介しました。
ただ、放っておいた工具がいつまでも高性能を維持できるかというと、そうではないんですね。要は、自転車のメンテナンスに必要な工具も、定期的なメンテナンスが必要なのです。
そもそも、トルクレンチをはじめとするボルトナットを確実に締め緩めしてくれる工具類は、どのような素材で構成されているのでしょう? 工具は金属部品、もしくは、金属と樹脂などその他パーツと組み合わさってできています。製品によっては、金属同士が常に駆動し、接触しているものもあります。
みなさんの中にはいらっしゃらないと思いますが、開発段階で想定できない過剰・過酷な条件で利用されてしまう場合もあります。例えば、JISなどに基づき社内で決めた強度を超える過剰な力を加えて締めつけたり、錆ついてしまったボルトを無理やり回したり、ハンマーでたたいたり…といったイレギュラーな使用方法です。
間違った使用法の一例
そういった使用をすると、工具を構成するパーツ類が必要以上に摩耗してしまいます。最悪の場合、変形や破損に至るケースも。表面をメッキなどでコーティングされていない商品は、雨ざらしなどの放置状態では、錆びてしまうこともありますね。
特に、トルクレンチを中心とする「計測機器類」と呼ばれるカテゴリーの商品は、落下などの激しい衝撃や摩耗により、本来の性能が著しく低下する場合があります。精密機器であるということなんです。
実際に店頭などで販売されている商品を見ると、それがよくわかります。衝撃を回避するために、必ず樹脂ケースに収納されて陳列してあると思います。
さて、計測機器類をメンテナンスするには、製造メーカーへ送りましょう。工具の点検のほか、本来の状態から著しく機能低下している場合は、修理することが可能です。
計測機器類の納品時には、書面確認いただけるように「検査成績書」とよばれる書類が添付されています。これは“工具の通信簿”のようなもので、「きちんと機能してますよ」というような内容が記載されています。
その基準から、使用や摩耗などによる機能低下が見受けられた場合はメンテナンスして機能回復してくださいというわけです。目安としては、購入後おおむね1年程度でのメンテナンスをお勧めしています。あくまでも目安なので、強制ではありません。
KTCのトルクレンチでは、新品時に添付の「検査成績表」、メーカー校正時に発行可能な「校正証明書」があります。
「校正証明書」は国際標準に対してトレースされた標準器を基準とした検定器を用いて校正されたことを証明するもので、その計測器の精度、性能を対外的に公的に証明することができます。
個人で使用する分には必ずしも必要となるものではありませんが、整備工場や製品の組付を行う工場などでは、校正と校正証明書はセットで管理されているところも多くあります。
例えば1cmを測る時に物差しを使いますが、その物差しの示す1cmが何を基準とした1cmか、現物だけでは証明のしようがありませんよね。トルクレンチも同じで、どれだけ「きちんと校正」された機器を使用しているといっても、何をもって「きちんと校正」したとするのか証明するものがなければ意味がありません。
校正証明書では何を基準(標準)とした機器で校正を行ったか、トレーサビリティ体系図によって示すことで「きちんと」の中身を明らかにし、校正結果を証明しているのです。
トルクレンチの校正、校正証明書については下記をご覧ください。
今回ご紹介のデジラチェ[メモルク]についてはこちら
KTCのデジタル型トルクレンチの一覧をご紹介
https://ktc.jp/catalog/index-category/category-list/gna010-02__gek085-r4
トルクレンチの選び方についてはこちら!
https://ktc.jp/torque/select.html