『工具はともだち』について

本記事は産経デジタル 「cyclist」にて掲載されていた連載記事を再録したものです。

一部修正・画像の差替えを行っておりますが、内容は掲載日時点のものとなっておりますのであらかじめご了承ください。

工具はともだち<24>“職人の勘”に頼った時代から工具のデジタル時代への過渡期 「トルク管理という安全をすべての方に」

(cyclist掲載日:2013/6/16)

 

#23工具の価格、どうして高い?高価なカーボン製パーツを破損リスクから回避するデジタル型トルクレンチ

 

工具にも、デジタル時代が到来しました。世の中の“デジタル化”からはかなり遅れているようにも思いますが、最近になってようやく、しっかりとした締付けやそれに対する作業者・ユーザーの意識がデジタル化を後押しするまでになったというのが、メンテナンスの世界の実情だといえます。


自動車や二輪車のメンテナンスには、認定された整備士がいらっしゃいます。これまでは、その方々に点検・整備を有償で行なっていただくのが、当たり前でした。しかし、規制の緩和などにより、車検前点検などを中心に、一般の方がメンテナンスを実施する機会が増えてきました。

そういった環境で発生してきたのが、メンテナンスの締付け不良によるトラブル。タイヤの脱落といったトラブルは、公にされていないケースも含めるとかなりの数が発生したと聞いています。

またプロの世界では、“職人のプライド”が存在していました。職人の腕のみに頼った作業が当たり前だった時代、「メンテナンス時の締付けは、職人の勘でするもの」と理解されていたんですね。

しかし、時代の変化とともに車両構造や使用されている部材・材料も変わり、これまでの勘に頼るメンテナンスでは大きなトラブルになるということが問題視されるようになりました。

「確実な締付けをするために、トルクレンチを使いましょう」と、国土交通省からメッセージが発信されたこともあります。業界では一時的にトルクレンチが大ヒット。メーカー各社で品薄状態が続く現象が起こったくらいです。その結果、適切な締付けが行なわれるようになったかというと、実際には、確実な使用方法で作業がなされていないなどの問題も生まれました。

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KTC発行のトルク管理TOKOTON解説BOOK


そういった背景から、現在では、確実な締付けをしてもらうためにメーカーが率先して啓蒙・推進することで、皆さんの安全を創造しようという活動を積極的に行なうようになってきました。そこで注目されたのが、直読式のトルクレンチです。

ただ、特にデジタル式は高価で、個人で購入するには金額的な障壁があり、なかなか市民権を得ることができませんでした。その後2005年、「トルク管理という安全をすべての方に」をキャッチコピーとして登場したのが、「デジラチェ」という商品です。

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デジラチェ初期モデルGWEシリーズ
力点位置を限定するためビーム型と同じくグリップは固定されておらず、スムーズな使用には慣れが必要であった。
 

 

初期モデルは、ビーム型トルクレンチの機能を活用し、デジタル表示を取り入れたタイプでした。部品の共通化により徹底的にコストダウンを図り、“ラチェットレンチをもう1本買う”程度の価格で発売することを実現しました。

課題は、使い方。大ヒット商品となったものの、ビーム型の機能は使い方にちょっとコツが必要で、キャッチコピーのとおり「すべての方に」使ってもらうにはまだ遠い状態でだったのです。そしてさらなる使いやすいモデル開発へ、動き始めます。

次回は、現在のモデルの紹介とデジタルの優位性についてお話します。

デジタル型トルクレンチラインナップ

KTCのデジタル型トルクレンチの一覧をご紹介

https://ktc.jp/catalog/index-category/category-list/gna010-02__gek085-r4

 

トルクレンチの選び方についてはこちら!

https://ktc.jp/torque/select.html

 

ボルト、ねじの締結についてはこちらをチェック!

ねじの基礎知識

https://ktc.jp/kiso/lesson/screw.html

 

トルクレンチの基礎知識

https://ktc.jp/torque/